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口頭

ボクセルファントムを用いたマウス及びヒトの中性子照射に対する臓器吸収線量の解析

佐藤 大樹; 佐藤 薫; 高橋 史明; 遠藤 章; 宮原 信幸*; 辻 厚至*; 大町 康*

no journal, , 

ボクセルファントムと汎用放射線輸送コードPHITSを用いて、中性子照射におけるマウスとヒトの臓器吸収線量を解析した。本研究では既に8週齢のC3H/HeNrsマウスのボクセルファントムを開発しているが、今回はボクセルファントムの解像度を以前の約1000倍(ボクセルサイズ: 0.1$$times$$0.1$$times$$0.1mm$${^3}$$)に向上させるとともに、9種類の実質臓器を新たにモデル化した。また、原子力機構が開発した日本人をモデルにした精密ボクセルファントムJMをPHITSコードに組み込み、単一エネルギー中性子に対する単位中性子フルエンスあたりの各臓器の吸収線量を計算した。マウスとヒトの臓器吸収線量及びそれに寄与した荷電粒子種ごとの付与エネルギー分布の解析から、同一条件の中性子照射について、同一臓器の吸収線量であっても、マウスに比べヒトの方が電子の相対的な寄与が大きいことを示した。これは、体型の大きなヒト体内において中性子がより減速されやすく、熱中性子捕獲反応の割合が増加したためである。臓器吸収線量及びそれに寄与する粒子の特徴を、マウスとヒトモデルについて臓器ごとに比較し報告する。

口頭

マイクロドジメトリに基づく高エネルギー粒子線RBE計算手法の構築

佐藤 達彦; 加瀬 優紀*; 渡辺 立子; 仁井田 浩二*

no journal, , 

粒子線治療や人類の宇宙長期滞在を計画する際、陽子や重イオンなど高エネルギー荷電粒子による生物効果比(RBE)を考慮した線量評価が必要となる。そこで、本研究では、巨視的な放射線挙動解析計算コードPHITSに微視的な計算コードTRACELの結果を組み込み、マクロ空間におけるy分布を計算する手法を世界で初めて構築した。そして、その改良したPHITSとマイクロドジメトリの知見を組合せ、さまざまな高エネルギー荷電粒子の混在するHIMACのSOBPビームで照射したHSG細胞の10%生存率に対するRBE値を計算し、測定値と比較した。その結果、計算は測定値を精度よく再現できることがわかり、その妥当性が証明された。PHITSは、ビーム上流や患者体内で発生する2次放射線のエネルギースペクトルを精度よく計算可能なため、この手法を用いれば、粒子線治療計画において、腫瘍細胞への治療効果と正常組織への副作用的な効果を、2次放射線による寄与を含めて同時に評価することが可能となる。発表では、構築した計算手法の詳細について説明するとともに、その手法を応用した今後の研究の展望について紹介する。

口頭

パルスラジオリシス法及び質量分析法を用いた3-ニトロチロシンとその誘導体の一電子酸化反応に関する研究

Lin, M.; Shi, W.*; Fu, H.*; 室屋 裕佐*; 勝村 庸介; Xu, D.*; Chai, Z.*

no journal, , 

パーオキシナイトライト(ONOO$$^{-}$$)や窒素酸化物(NOx)等の活性窒素種(RNSs)は、チロシンのニトロ化に代表されるように、芳香族アミノ化合物(チロシンやトリプトファン等)に対しさまざまな修飾を行うことが知られている。特に、3-ニトロチロシン(3-NT)は、細胞内の窒素化ストレスを測るうえで重要な指標化合物と考えられ、この反応性を調べることは非常に重要である。そこで本研究では、3-NT及びその誘導体の酸化性ラジカルとの反応性を調べた。まずナノ秒パルスラジオリシス法を用いて、3-NT, N-acetyl-3-nitrotyrosine ethyl ester(NANTE)、及びGly-nitroTyr-Gly含有3-NTについて酸化性ラジカル(N$$_{3}$$$$^{.}$$ラジカル)との反応速度定数を調べた結果、非常に高い反応性を持つことがわかった。過渡的生成物の吸収スペクトルを測定した結果、一電子酸化反応によるものと同定された。さらに、最終生成物の質量分析を行った結果、二量体が形成されていることがわかった。細胞内におけるタンパク質の凝集は、3-NT残基の二量化反応を介して引き起こされるのではないかと推測される。

口頭

"${it In vitro}$" DNA protective properties of Silybin and analogues against X-ray radiation

Fu, H.*; Lin, M.; 端 邦樹; 室屋 裕佐*; 藤井 健太郎; 勝村 庸介; 横谷 明徳; 鹿園 直哉; 籏野 嘉彦

no journal, , 

天然のフラボノイドであるシリビン(SLB),ヘスペレチン(HESP),ナリンゲニン(NAN),ナリンギン(NAR)は、報告にあるような植物によるがんの化学防護作用を説明する成分であると信じられている。しかし、発がんを抑制するシリビンやその類似体の濃度は低く、分子的なメカニズムは明確ではない。本研究では、${it in vitro}$でのプラスミドDNAと一定の捕捉剤の条件下で放射線によって活性酸素(ROS)を発生させる方法を用いて、これら4つのフラボノイドがフリーラジカルによるDNA損傷を改善することを明らかにした。0.1mMのSLBによるプラスミドDNAを50%防護するためのdose modifying factorは8.9となった。測定したフラボノイドの中ではSLBが最も効果的に働き、$$mu$$Mオーダーの濃度で効果が見られた。高速反応を追う化学的手法を組合せた研究結果はSLBからDNA上のROSが誘発したラジカルに電子(もしくは水素原子)移動のメカニズムを示した。これらの結果は、DNAラジカルとの直接的な相互作用におけるSLBや類似体の抗酸化効果を支持している。

口頭

水中における重粒子線トラック構造の拡散モデルによる検討

山下 真一; 勝村 庸介; 前山 拓哉*; Lin, M.; 室屋 裕佐*; 村上 健*; Jay-Gerin, J.-P.*; Meesungnoen, J.*

no journal, , 

水は生体細胞主成分であり、その放射線との相互作用は重要と言えるものの、これまで生体に近い中性の条件下でがん治療に用いられるほど高エネルギーの重粒子線を用いた研究はほとんど報告されていない。そこで本研究ではこれまで放射線医学総合研究所のHIMACからのガン治療用GeV級重粒子線($$^{4}$$He$$^{2+}$$-$$^{56}$$Fe$$^{26+}$$, 最大エネルギー500MeV/nucleon, LET 2$$sim$$700keV/$$mu$$m)を用い、水の放射線分解主要生成物である水和電子(e$$^{-}$$$$_{aq}$$), OHラジカル($$^{.}$$OH), 過酸化水素(H$$_{2}$$O$$_{2}$$)のプライマリ収量を測定してきた。ここでプライマリ収量とは照射後約100ns後における収量である。照射後ps程度の間にトラックが形成され、トラックの中心部に水分解ラジカルは密集して生成されるが、その後水分解ラジカルは周囲へ拡散しつつも相互に反応する。このトラック内反応と拡散がほぼ落ち着く時間が約100nsと言えるため、プライマリ収量はトラック初期構造やトラック内における水分解ラジカルのダイナミクスを強く反映する量と言える。本研究ではこのプライマリ収量の測定だけでなく、測定値を元にシミュレーションを補完的に用い、より微視的な検討も実施している。

口頭

重粒子線トラック構造から推定されるDNA損傷スペクトルとその生物学的意義

渡辺 立子; 佐藤 理*; 久保田 あさ子*; 船曳 淳*; 斎藤 公明

no journal, , 

われわれは、エネルギー付与の構造とDNA損傷の初期生成スペクトル(損傷数及び損傷間の位置関係)との関係を明らかにすることは、生物影響上重要なDNA損傷を特定し、さまざまな条件下での放射線影響を推測するうえで重要であると考え、重粒子線やX線のトラックの微細構造,細胞中でのDNA損傷の生成メカニズムのモデルに基づいて、DNA損傷生成過程をシミュレーションするシステムを構築し、エネルギー付与の微視的な分布とDNA損傷との関係を調べている。発表では、おもに炭素線等の重粒子線についての、具体的な結果を示す。また、エネルギー付与の分布,損傷生成過程(直接作用と間接作用),DNAの形態等の、放射線影響の初期過程においてDNA損傷スペクトルを決定付けると考えられる因子の寄与に関する知見について述べる。この上で、DNA損傷スペクトルや損傷分布と細胞死等の生物効果との関連性について議論したい。本発表は、放射線作用の初期過程に関するワークショップにおける講演である。

口頭

本年のUNSCEAR会合の議論について

吉澤 道夫

no journal, , 

2008年のUNSCEAR会合では、5つのドラフトが承認された。このうち、「種々の放射線源からの公衆及び作業者の被ばく」,「医療放射線被ばく」及び「放射線事故からの被ばく」の概要を紹介する。「種々の放射線源からの公衆及び作業者の被ばく」では、公衆の自然放射線からの被ばく線量の世界平均値(年2.4mSv)に変化はないが、変動幅は大きくなった。職業被ばくについては、集団線量の半分以上を医療分野の作業者の被ばくが占める。「医療放射線被ばく」では、すべての国で医療被ばくが増加しており、医療先進国においては、自然放射線源からの線量の約75%に相当する線量が医療からもたらされている。「放射線事故による被ばく」は、放射線事故を施設(原子力,工業,医療等)別にまとめ、時代による変化を概観している。被ばく後早期に1名以上の確定的影響が見られた事故及び環境汚染によって公衆に有意な被ばくをもたらした事故が対象である。ただし、既に文献等でまとめられたものと各国から情報が提供されたものに限られている。

口頭

シロイヌナズナ乾燥種子及び幼植物体における放射線誘発変異の解析

吉原 亮平; 長谷 純宏; 滝本 晃一*; 鳴海 一成

no journal, , 

高等植物における放射線誘発変異を解析するため、${it rpsL}$遺伝子導入シロイヌナズナの乾燥種子に、カーボンイオン及び$$gamma$$線を照射し、変異誘発効果を評価した。カーボンイオンと$$gamma$$線の変異スペクトルを解析したところ、両放射線は、ともにG$$rightarrow$$Aの塩基置換及び欠失変異を効率的に誘発した。また、カーボンイオンでは複合型変異が、$$gamma$$線ではフレームシフト変異の頻度が比較的高かった。他の生物種における主要な$$gamma$$線誘発変異は、グアニンの酸化体が関与するG$$rightarrow$$TやA$$rightarrow$$Cの塩基置換であるが、われわれの結果では、非照射区に対して有意に上昇しなかった。われわれは、乾燥種子という特殊な細胞環境がこの違いに関係していると考え、生育途中の植物体でも変異解析を行っている。ブラッグピーク付近のカーボンイオンを照射した場合は、非照射区に比べて変異頻度は有意に上昇しなかった。${it rpsL}$変異検出システムは、比較的小さな遺伝子内変異を検出するシステムであることから、ブラッグピーク付近のカーボンイオンは、乾燥種子内で遺伝子内変異を誘発しにくいことが示唆された。

口頭

ラジカル捕捉剤エダラボンの誘導体に関する反応性の比較研究

端 邦樹; 勝村 庸介; Lin, M.; 室屋 裕佐*; Fu, H.*; 山下 真一; 工藤 久明*; 中川 恵一*; 中川 秀彦*

no journal, , 

脳梗塞時に発生する活性酸素、フリーラジカルを除去する作用があることから2001年より国内において臨床で使用されているエダラボン(3-methyl-1-phenyl-2-pyrazolin-5-one)は、その優れた抗酸化性から、放射線防護剤としての利用も検討され、研究されている。最近ではエダラボン同様の反応性を期待されたエダラボン誘導体についての研究開発も行われており、ESRによる実験で、フェニル基をピリジン環で置換した誘導体がエダラボンより優れた$$^{.}$$OHとの反応性を示すという報告もなされている。エダラボンやその誘導体と$$^{.}$$OHなどの水の放射線分解生成物との反応性を明らかにすることは、放射線防護剤の研究において重要であり、本研究ではその反応初期過程を明確にすることを目的としてパルスラジオリシス法による測定を行った。速度定数は生成するラジカルの直接測定、炭酸イオンやDMPOを競争剤に用いた競争反応による測定により評価した。直接測定ではすべての誘導体において拡散律速に近い反応性を示した。炭酸イオンとの競争反応の結果も同様のものとなった。これらの結果から、エダラボン誘導体はエダラボン同様に優れたラジカル捕捉剤であることがわかった。DMPOとの競争反応を用いての速度定数評価では、ピリジン環を持つ誘導体について、直接測定の2倍程度高い値が得られた。これからピリジン環を持つ誘導体とDMPOとの間に相互作用が存在することが示唆された。

口頭

原子力機構TIARAにおける生物照射用マイクロビーム装置の現状

舟山 知夫; 坂下 哲哉; 佐藤 隆博; 深本 花菜; 倉島 俊; 横田 裕一郎; 横田 渉; 神谷 富裕; 小林 泰彦

no journal, , 

私たちは、原子力機構・高崎量子応用研究所・TIARAのAVFサイクロトロンにコリメーション式重イオンマイクロビームを設置し、これを用いることで、生物の重イオン照射効果研究を進めてきた。その一方で、コリメーション式マイクロビームでは実現できない照射を行うために、新たなビームラインに集束式重イオンマイクロビーム装置を設置し、それを用いた生物照射技術の開発を進めている。集束式重イオンマイクロビーム装置は、既存のコリメーション式マイクロビーム装置では不可避であったコリメータエッジでの散乱イオンの発生を回避することができるため、従来よりも微細なビームで細胞を正確に照射することができる。現在、昨年度までに設置された細胞照射用ステーションを用いて大気中で顕微鏡観察下の試料への照準照射技術の開発を進めている。また、従来から用いられてきたコリメーション式マイクロビームでも、コリメーション式マイクロビームの特徴である高フルエンス照射を活かした新たな照射を実現できるようにするための細胞照準照射系の新規設計とシステム更新を行うなどの改良を施した。

口頭

粒子線トラック構造とDNA損傷分布について

和田 成一*; 舟山 知夫; 坂下 哲哉; 浜田 信行*; 柿崎 竹彦*; 伊藤 伸彦*; 小林 泰彦

no journal, , 

放射線による細胞死の主要因であるDNA損傷に着目して、細胞核においてイオントラック内に生じるDNA損傷を可視化する実験系を用い、エネルギー付与分布の違いがもたらすDNA損傷分布の影響を調べた。原子力機構・高崎量子応用研究所のTIARAにおいてネオンイオンとこれと同一のLET値になるようにエネルギーを調整したカーボンイオンをCHO-K1細胞に照射した。DNA損傷の検出は個々の細胞におけるDNA損傷を評価できる免疫化学的手法を用いた。DNA切断の評価にはDNA1本鎖切断や2本鎖切断を修飾する酵素tdtを用い、DNA2本鎖切断のみの指標として$$gamma$$H2AXを検出した。DNA損傷分布領域を評価するため、蛍光シグナル領域の直径を測定した結果、$$gamma$$H2AX領域はネオンイオン照射とカーボンイオン照射において大きな差は認められなかったが、DNA切断領域はネオンイオン照射においてカーボンイオン照射より大きかった。この結果はイオントラック構造の違いがDNA損傷生成様式に影響することを示唆しており、重粒子線による生物効果の解明にはイオントラック構造による初期応答の影響を評価することが不可欠である。

口頭

プラスミドDNAに対する高LET放射線による非DSB性多重SSB誘発の可能

横谷 明徳; 鹿園 直哉; 藤井 健太郎

no journal, , 

われわれが開発したDNA変性を利用した新しい非DSB性多重SSBの定量法を、高LET放射線照射したDNA試料に適用し、非DSB性の多重SSBが実際に生じているか否かを調べた。試料には、高水和状態のプラスミドDNAフィルムを用いた。原子力機構TIARAで得られる4He2+イオンビーム(82keV/$$mu$$m)を試料に照射した後、Hind III処理によりDNAを直鎖状にした。これにホルムアミド(50% v/v)を加え、37$$^{circ}$$Cで5分間という穏やかな条件で変性処理し1本鎖DNA(SS-DNA)にした。残存する無傷のSS-DNAの線量依存性を、アガロースゲル電気泳動法により調べた。得られた結果は当初の予測に反し、多重SSBはほとんど生じないというものであった。この結果は、高LET放射線照射で生じるクラスター損傷は、複数のSSBよりもSSBと(複数の)塩基損傷で構成される可能性を示唆している。

口頭

日本におけるマイクロビームを用いた研究の現状

小林 克己*; 古澤 佳也*; 小林 泰彦

no journal, , 

英国グレイ研究所及び米国コロンビア大学においてマイクロビーム照射装置が建設されてから間もなく、日本では日本原子力研究所(現、原子力機構)高崎研究所において重粒子マイクロビームを細胞に照射するプロジェクトが始まった。それ以来、多くのマイクロビーム細胞照射装置が提案され、その中であるものは実現された。その結果、日本国内では現在4施設が稼働中で、2施設が建設中あるいは計画中となっている。日本におけるマイクロビーム照射施設の現況の特徴は、多くのビーム種類、すなわち軟X線,X線,軽イオン,重イオンが利用可能な施設が地理的に非常に近い所に位置していると言う点である。このことは日本におけるマイクロビームを用いた放射線影響研究が爆発的に発展する可能性を秘めていることを示している。本講演では、日本におけるこれらのマイクロビーム細胞照射装置の現況とその特徴を報告するとともに、それらの施設で得られた研究成果についても紹介する。

口頭

Simulation study on induction and repair of clustered DNA damage

斎藤 公明; 渡辺 立子; 樋口 真理子

no journal, , 

修復されにくいクラスターDNA損傷が放射線生物影響上重要であると考えられてきたが、クラスター損傷の実体に関してはまだ十分に解明が行われていない。原子力機構では、クラスター損傷の生成・修復機構の解明に貢献するため、シミュレーション計算を用いた研究を実施している。この中で、線質(放射線の種類・エネルギー)と損傷スペクトル(損傷の種類と収率)の関係を明らかにするためのモンテカルロ計算,クラスター損傷DNAが修復され難い原因を明らかにするための分子動力学計算を進めてきた。本講演ではおもに2007$$sim$$2008年に得られた成果をまとめて発表する。前者のシミュレーションについては、DNAの高次構造が損傷生成に与える影響について、後者のシミュレーションについては、DNAの構造変化が修復に与える影響についてそれぞれ得られた新しい知見について紹介し議論を行う。

口頭

鎖切断と脱塩基部位からなるクラスターDNA損傷の生物効果

鹿園 直哉; 野口 実穂; 漆原 あゆみ*; O'Neill, P.*; 横谷 明徳

no journal, , 

われわれは二本鎖切断以外のクラスターDNA損傷に注目して研究を進めている。本研究では、鎖切断と脱塩基部位を含むクラスターDNA損傷を用い、大腸菌野生株での形質転換効率及び誘発突然変異を調べた。その結果、鎖切断及び脱塩基部位がそれぞれ単独であった場合に対し、鎖切断が脱塩基部位とクラスター化することで、形質転換効率は大幅に低下することが明らかになった。このことから、クラスターの大部分はプロセシングによりDSBを生じていることが示唆される。一方、各々の損傷が極近傍に存在する場合ほぼすべてのプラスミドで変異が生じており、シークエンス解析から、脱塩基部位:CのC:Gへの変化及び脱塩基部位:Cサイトの1塩基対欠失が主要な変異であることが明らかになった。これらの結果は、われわれが以前報告した塩基損傷からなるクラスター損傷での結果と大きく異なっており、クラスター損傷による生物効果はクラスターを構成する損傷の種類に強く依存することを示唆している。

口頭

8-oxoGを含むクラスターDNA損傷誘発突然変異における一本鎖切断の影響

野口 実穂; 漆原 あゆみ*; 横谷 明徳; 鹿園 直哉

no journal, , 

疎に分布した一本鎖切断や塩基損傷などのDNA損傷は細胞内で効率よく修復され、細胞死や突然変異への寄与は小さいとされていた。しかし、放射線のLETが高くなると、DNA上に損傷が局所的に生じ、一本鎖切断や塩基損傷などがクラスター化した損傷が増加する。本研究では一本鎖切断と塩基損傷から成るクラスター損傷と突然変異誘発との関連を人工的に合成したモデルクラスター損傷を用いて検討した。今回われわれはクラスター損傷として8-oxoGのみの損傷、一本鎖切断と8-oxoGから成る損傷など数種類のクラスター損傷を作成した。損傷を含むオリゴヌクレオチドはプラスミドとつないだ後、野性株の大腸菌、及びグリコシラーゼ欠損株の大腸菌に形質転換した。その後プラスミドを大腸菌から回収し突然変異誘発頻度を求めた。今回用いたクラスター損傷の中で、2個の8-oxoGから成る損傷がすべての変異株で最も高い変異頻度を示した。しかし、2個の8-oxoGの近傍に1つの一本鎖切断を配置すると、すべての変異株で変異頻度は若干低下した。この損傷の変異率は1個の8-oxoGと一本鎖切断を相補鎖に配置した損傷とほぼ同程度の値であった。これらの結果から一本鎖切断が8-oxoGなどの塩基損傷と同一鎖の近傍に存在すると変異が抑制されることが示唆される。このような変異の抑制は一本鎖切断の修復又は複製が関与していることが予測され、クラスター損傷に起因する変異誘発は一本鎖切断の存在及び配置が大きく影響することが考えられる。

口頭

重粒子線照射による出芽酵母${it ogg1}$株の突然変異誘発の解析

松尾 陽一郎*; 西嶋 茂宏*; 坂本 綾子; 清水 喜久雄*

no journal, , 

イオンビームによる突然変異誘発のメカニズムを分子レベルで解析するために、出芽酵母${it S. cerevisiae}$の野性株並びにDNA修復欠損株を用い、イオンビームによる損傷とDNA修復のメカニズムについて解析を行った。照射試料として野性株,塩基除去修復による8-oxodGTPの除去活性を失った${it ogg1}$株、及びミスマッチ修復の活性を失った${it msh2}$株を用いた。原子力機構・イオン照射研究施設(TIARA)のAVFサイクロトロンを用いて加速したカーボンイオン粒子(エネルギー:220MeV, LET:107keV/$$mu$$m)を照射した。続いて最も突然変異の頻度が高かった照射条件を用いて突然変異の誘発を行い、it URA3領域(804bp)についてPCR法を用い増幅させ、変異位置をシークエンス解析によって決定した。得られた結果から、${it ogg1}$株ではおもにCG$$rightarrow$$TAトランスバーションが誘発され、${it msh2}$株では1塩基欠失がおもに誘発されることがわかった。これらの変異パターンから、重粒子線照射による突然変異の要因として酸化損傷したヌクレオチドが関与していることが示唆された。

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